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建通新聞掲載 2008年「経審改正」の衝撃 第1回-11月15日付-

『大幅な順位逆転の可能性も・・・』~約10年ぶりの大改正~

9月21日に開かれた中建審(中央建設業審議会)総会で、経審(経営事項審査)の改正が承認され、来年度から経審の審査内容が大きく変わることが決定しました。詳細な改正内容(評点テーブルなど)が発表されていない現時点では、その影響を厳密には算定できません。ただし、公表済みの情報から現時点で想定される評点を試算してみると、評点順位が大幅に入れ替わる可能性があることがわかりました。
表の事例(表参照)は、インターネットで公開されている経審結果通知書を収集して構築した当社の「主要建設業者データベース」から、具体的に経審結果の順位が逆転する事例を抽出したのもです。例えばA社は、現経審ではB社を250点以上(総合評定値)上回っていますが、新経審では、逆にB社に100点以上の差を付けられてしまうのです。

現経審と新経審の評価が入れ替わる例
  評点内訳 現経審の評点 新経審の推定評点
A社 X1評点 915 915
X2評点 843 2198
Y評点 642 751
Z評点 840 1050
W評点 653 995
総合評定値P 799 1120↑
(+321)
B社 X1評点 937 937
X2評点 834 566
Y評点 1323 741
Z評点 1152 1440
W評点 973 1213
総合評定値P 1052 1009↓
(-43)

さて、建設投資の急激な減少により、特に公共工事への依存度の高い地方の建設業が、厳しい経営状況に追い込まれているのは、周知のとおりです。受注確保のための低価格入札が増加し、工事の品質確保への懸念から公共工事品確法による総合評価方式の導入も進んでいます。また、不正行為に対する国民の監視の目は一層厳しく、独禁法改正による調査権の強化などを背景に、官製談合の疑いで県知事が相次いで逮捕される事態も続出。一般競争入札を拡大する都道府県が7割を超えるとともに、多くの発注者が不正行為のペナルティを大幅に強化しました。このように、ここ1~2年の事業環境は、まさに激動の渦中にあるといえます。
中建審でも一昨年から、入札契約制度の見直しがなされてきました。その目玉として経審(経営事項審査)が約10年ぶりに大改正されます。経審は公共工事の業者評価の客観的な基準であり、公正かつ実態に即したモノサシである必要があります。さらに経審の審査プロセスは、建設産業の生産性向上や経営効率化に資するものでもあるべきです。
経審は、その歴史を振り返ると、昭和25年に工事施工能力審査としてスタートしました。昭和36年に法制化されて以来、現在では18万社強が受審する、社会的にも認知された企業評価制度です。時代の要請に応えるため、この間に数次にわたる改正が実施されてきました。最近20年でも昭和63年、平成6 年、平成11年に大改正され、業界に大きな衝撃を与えたことは、記憶に新しいことでしょう。特に今回は約10年ぶりの大改正となります。経審のどこが変わるのか、企業評価のどこにポイントが置かれるのか、また地域の業界順位にどのような影響が出るのか。そして適切な経審対策とは何か?
本連載では、来年度早々から始まる新経審の審査開始に向けて、経審改正のポイントを解説してまいります。

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