建通新聞掲載 2008年「経審改正」の衝撃 第4回-11月27日付-
中小企業の高得点は困難
もう一つの経営規模の評点(X2)は、2008年経審改正で全く姿を変えることになります。まず現行経審と比較して、ウェートが5ポイント増加し、得点幅も格段に大きくなります。(表参照)。
現行経審 ウェート 10% |
2008年改正経審 ウェート 15% |
||
---|---|---|---|
最低点 | 最高点 | 最低点 | 最高点 |
118 | 954 | 454 | 2,280 |
総合評定値Pへの影響 | 総合評定値Pへの影響 | ||
12 | 95 | 68.1 | 342 |
そして現行経審の「完成工事高当たりの自己資本額」と「完成工事高当たりの建設業従事職員数」は全く姿を消して、新たに「自己資本額」と「EBITDA(利払前税引前償却前利益 = 償却前営業利益)」の絶対額を、それぞれ図1と図2の評点テーブルで数値化しおおむね1対1のバランスで合計して、さらに図3の評点テーブルでX2評点を算出します。
新しいX2評点は、収益をネット表示した利益額と、その利益を内部に蓄積した純資産額で、企業規模の評価を行うものです。いずれも規模を評価する指標ですから、年度ごとに極端に変動しないものが選ばれました。自己資本額は「期ごとの変動が少ない」こと、EBITDAは「企業の会計基準に左右されにくいこと」から、採用されました。従来経審のX2評点は、中小企業でも最高点を獲得できましたが、2008年経審改正のX2評点は、企業規模を示す自己資本額とEBITDAの絶対値に変更されたため、ほとんどの中小企業は、最小限の得点しか獲得できないものと予想されます。
実際に経審受審企業のトップ100位のEBITDAは250億円、自己資本は1600億円です。またX2評点の上位50%に位置する企業のEBITDAは57億円前後で300位、自己資本は180億円前後で580位です。すなわち99.5%の企業は、X2評点の半分以下しか得点できません。
図1
図2
図3
注)2008年1月31日の改正発表に合わせて、修正致しました。