建通新聞掲載 2008年「経審改正」の衝撃 第8回-12月11日付-
「W評点」プラスにも、マイナスにも得点幅が倍増する
W評点のウエート15%は、改正経審でも変わりませんが、中小建設業者の社会性をより的確に評価できるように、労働福祉の状況や防災活動、営業許可年数などの評点幅が拡大されます。また、W評点全体の評点幅も、現行経審の0~103点が、改正後は0~1800点程度に拡大され、業者間の差がつきやすくなります。
W評点は評価項目が多いので、W評点の現行経審と改正経審の比較表をご覧下さい(参照表)。
評価項目 | 現行経審 | 改正経審 | 備 考 |
---|---|---|---|
労働福祉の状況 | 0~30 | -60~45 | 現状の下限0点を撤廃 |
雇用保険未加入 | -15 | -30 | 減点幅を2倍に引き上げ |
健康保険・厚生年金保険の未加入 | -15 | -30 | 減点幅を2倍に引き上げ |
賃金不払件数 | -15 | 廃止 | 自己申告項目のため廃止 |
建退共加入 | 7.5 | 15 | 加点幅を2倍に引き上げ |
退職一時金制度の導入 | 7.5 | 15 | 退職一時金、企業年金は、一つの評価項目に統合 |
企業年金制度の導入 | 7.5 | ||
法定外労災制度への加入 | 7.5 | 15 | 加点幅を2倍に引き上げ |
工事の安全成績 | 30 | 廃止 | 自己申告項目のため廃止 |
建設業の営業年数 | 30 | 60 | 加点幅を2倍に引き上げ |
防災協定締結の有無 | 3 | 15 | 加点幅を5倍に引き上げ |
法令遵守状況 | - | -30 | 営業停止処分の場合 |
建設業の経理の状況 | - | 30 | |
監査の受審状況 | - | 20 | 新設 |
公認会計士等数 | 10 | 10 | 現行制度と同様 |
研究開発の状況 | - | 25 | 新設 |
合計 | 0~103 | -90~175 | |
W評点 | 0~987 | 0~1,750 |
労働福祉の状況は、上限が現状の30点から45点へ5割アップします。一方で現行経審では下限が0点でストップしますが、これを撤廃し労働福祉の状況のマイナス評点が、W評点全体に影響するように改正されます。
自己申告項目の賃金不払件数と工事の安全成績は、申請内容の信頼性という観点から、廃止されます。建設業の営業許可年数は30点から60点へ倍増、防災協定締結の有無は、3点から15点へ大幅に拡大します。法令順守状況が新設され、審査期間内に営業停止処分を受けると-30点、指示処分を受けると-15点です。公認会計士等の数は10点で現行経審のままですが、監査の受審状況が新たに設置され、会計監査人を設置すると20点、会計参与を設置すると10点、社内の経理実務責任者(一級建設業経理士以上)が、チェックリストに基づく自主監査を実施すると、2点が加算されます。
また、会計監査人設置会社に限定されますが、研究開発の状況で新たに25点が加点されます。
企業の社会貢献や社会的責任(CSR)が強く問われる時代背景での経審改正ですから、W評点の存在がいよいよ大きくなるのでしょう。
注)2008年1月31日の改正発表に合わせて、修正致しました。