建通新聞掲載 2008年「経審改正」の衝撃 第3回-11月22日付-
「規模偏重」批判に応えたX1改正
2008年経審改正で、完成工事高の評点(X1)は、現行経審と比較してもウェートも得点幅も小さくなります。その結果、完成工事高の評点(X1)が総合評定値Pに与える影響は、全体的に3割程度の得点減少となります(表参照)。
現行経審 ウェート 35% |
2008年改正経審 ウェート 25% |
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最低点 | 最高点 | 最低点 | 最高点 |
580 | 2,616 | 390 | 2,268 |
総合評定値Pへの影響 | 総合評定値Pへの影響 | ||
203 | 916 | 97.5 | 567 |
また、08年経審改正では、完成工事高の上限値が引き下げられます。現行経審は「2000億円以上」で「2616点」(最高得点)で一定になりますが、グラフ1の通り、改正後の最高得点は「1000億円以上」で「2268点」に引き下げられます。その結果、完成工事高が1000億円以上の建設業者の総合評定値P は、387点も減少します。完成工事高1000億円以上の企業は、『経営規模以外の経営内容の優劣で評価する』という考え方です。もっともこの改正内容によって影響を受ける1000億円以上の完成工事高を持つ大規模業者は、全国で90社程度しかありません。
グラフ1
また08年経審改正では、グラフ2の通り、完成工事高が5億円以下の層で、X1評点の差が拡大します。完成工事高が「0円」の場合、X1評点の最低点数が現行経審の「580点」から「390点」まで引き下げられます。その結果、完成工事高0円の企業の総合評定値Pは 103点減少。完成工事高1億円の企業でも、総合評定値Pは80点以上減少します。
グラフ2
実際には完成工事高が5億円以下の業者数は、経審受審企業の89%に相当する15万社を超えています。これら多くの建設業者が、こうした『完成工事高によって評点差が拡大する』という影響を受けることになります。 完成工事高は、企業規模をグロス表示の収益額で表した値ですが、この部分を見ると「規模偏重」という経審への批判に応えた改正内容になっているといえます。次号では、企業規模をネット表示で評価するX2評点について解説します。
注)2008年1月31日の改正発表に合わせて、修正致しました。