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HOME > 掲載記事> 2010年-11月19日付-

建通新聞掲載 シミュレーション解析 P点への影響

再生・更生企業は等級ダウンの可能性大

 経審改正によって、建設企業の総合評定値(P点)はどう変わるのか。日本マルチメディア・エクイップメントの高田守康代表の協力を得ながら、架空の地域建設業をモデルに改正項目を運用した場合、P点がどのように推移するのか分析した。

 今回シミュレーションの対象としたのは、資本金4000万円、営業年数31年の土木工事事業者。2年間平均の完成工事高は約11億円で、このうち約7億円は元請けとしての実績だ。

 現行のP点は、土木一式が939点。評点の内訳は完成工事高評点(X1)が1008点、自己資本額評点(X2)が706点、経営状況分析評点(Y)が703点、技術力評点(技術者評価、Z1)が1094点、同(元請完成工事高評価、Z2)が1005点、その他社会性等評点(W)が1140点となっている。

 これに、X1点とZ2点の評点テーブル修正を反映させてみると、X1点は1026点、Z2点は1155点となり、P点は942点に引き上げられる。

 次にW点への加点効果を検証してみる。建設機械の保有については1200万円の建機を加点上限の15台購入したと仮定し、稼働期間を6ヵ月、1年目の減価償却率を50%に設定した。これを加味すると、固定費の増加によってX2点は700点、Y点は650点に下がってしまう。その一方で、W点は1台に付き1点加算されるため15点上がる。総合すると、P点は952点に上昇することになる。

 ISO取得への加点をめぐっては、ISO9000シリーズと14000シリーズをともに取得した場合、P点は956点に上昇する。ただし、これとは別にISOの取得・維持費用が必要となる。また、発注者別評価点(従来の主観点)で既に加点している場合、発注機関によっては経審での加点に一本化される可能性もある。

 再生・更生企業に対する減点措置の影響は大きい。W点から60点が原点されることで、P点は857点に下がってしまうのだ。各発注者が設定する基準(発注標準)によるが、再生・更生企業は等級がダウンする可能性が高いと考えられる。

改正項目別にみるP点への影響
  現行経審 新経審
X1、Z2の上方修正 建機15台保有 ISO両シリーズ取得 再生・更生企業
完成工事高評点(X1) 1008
1026
自己資本額評点(X2) 706 706
700
706 706
経営状況分析評点(Y) 703 703
650
703 703
技術力評点(Z1・技術者評価) 1094 1094 1094 1094 1094
技術者評点(Z2・元請完工高評価) 1005
1155
その他社会性等評点(W) 1140 1140 1140 1140 1140
   今回の改正による加点・減点    
15
10
-60
総合評定値(P) 939
942
942
956
856
 

経審改正 わたしはこうみる

2~3年先見通す経営計画策定を

日本マルチメディア・エクイップメント代表 高田守康氏

 「W点の存在感が一層高まり、W点に支配される改正となった。新規参入業者には厳しい内容で、公共事業への参画は遠慮してくれとのメッセージともとれる。固定費を増加させる要素が強く、建設企業にとって過度な負担につながりかねない」

 「下請経審など積み残しの課題については、新たな制度を構築しなくても、現状の制度を活用して情報量を増やせばいいのではないか。現状でも経審の経営状況分析結果や建設業許可の変更届など、既に発注者が保有している情報がたくさんある。これらの情報から有用な部分を公表すれば、発注者や元請けが建設企業を選択する上での有力なツールとなり得る。現行制度を活用することで、発注者、建設企業の双方にとって負担が少ない制度が構築できる」

 「最善の経営に取り組んだ結果が経審の評価向上に結び付くのが本来、一番良いことだ。しかし、W点には固定費を増加させる要素が多いことがやはり懸念される」

 「経審改正や競争参加資格審査のつどに慌てるのではなく、2~3年先を見通した中期的な経営計画を策定すべき。自社の固定費を常にチェックしながら、利益や設備投資などの計画を立案することが重要だ。たかが経審、されど経審。顧客である発注者が何を求めているかを的確に判断し、自社の経営戦略に織り込んでいくことが求められる」